報われない愛の行方
臨也さんが好き けど、言ったら最後なのは分かってる。 臨也さんは人間が好きだ。 愛してるを通り越して、一種の宗教になってると思う。 宗教だから、神に全ての愛情を感情を注ぐように、人間全て平等に愛を感情を注ぐ。 僕が欲しいのは僕だけに注がれる愛情や感情。 そりゃ、他の人に愛情を、感情を注ぐのがいやってわけじゃない。 他の人より特別な愛情を感情を臨也さんから引き出したいのだ。 確かに臨也さんにとって、少しだけ「特別」がいることは知ってる。 平和島静雄さんとかとはまた違って、其の時其の時に、ころころ変ってる。 僕が臨也さんと知り合えたのだって、「其の時」だったからだし、今じゃダラーズごとき(ごときなんていいたくないけど、さ)で彼の関心を手に入れられるとも思ってない。 じゃぁどうすればいいのか。 彼は非日常に属しているけれど、非日常を欲しているわけじゃない。 純粋に興味があるのは「人間そのもの」だ。 そしてもう僕という人間を見るのは飽きたらしく、チャットぐらいでしか会えない。 チャットで会えてるだけましなのかもしれないけれど。 ここまで理解してるんだから、諦めればいいのに。 「だって、さ」 他の人と同じじゃ興味を示してくれない。 他の人と変りすぎてても興味を示してくれない。 少しだけ、変ったところに付けこむのが好きなのだから。 「理解してても無理はものは無理なんだよね」 カチリ。 マウスをクリックして、偶然取れた写真を取り出す。 携帯でたまたま正臣に場所を知らせようとして、写真を撮った瞬間に写りこんだ、少しぶれてる臨也さん。 俳優に恋している方がまだ見込みがあったかもしれないのに。 テレビの向こうに居る人間は、まだ「通常の人間」である可能性が高いかもしれないのに。 「神を愛するのと、似てるのかも」 一方通行で、絶対に両思いになれない。 そして神は試練を与え、何も与えてくれないまま自分の好きなように動くのだ。 臨也さんを愛するということは、きっとそういうことなのだろう。 「報われないって分かってて恋するなんて、ロミオとジュリエットじゃないんだから」 今時、流行らない。 今日はチャットに行く気分ですらない。 ログを見れば話したことの大体は掴めるだろう。 なら何も今日ぐらいいかなくたって変りばえなんて…。 「しないのもむかつく」 むかつくけれど、それが普通のことなのだから。 ぱたんと仰向けに倒れる。 汚い天井が見えた。 あぁ、なんで僕は臨也さんになんて恋をしてしまったのだろう。 非日常に僕は恋をする。 戻 →最後の一文をクリックで、ハッピーエンド! が、しかしおまけが長いよ! 2010.5/6 如月修羅 |