猫だまり 2.5
表の猫だまり2のごまかした裏部分ですよ? 裏部分はたいしたことないけど、一応色物系なので此方に隔離。 『教えてね?』 そう言って臨也さんが僕に腕を伸ばしてから一時間。 ずーっと臨也さんに体を舐められている。 「ん…ぁ」 ざりざりと体を這い回る舌先は、普段と一緒なのに。 なのに体を這い回る感覚は初めて。 臨也さんはこの体のむずむずを静めてくれるって言ったのに! えいっと力の入らなくなった指先で髪の毛を叩けば、漸く顔をあげた。 「なぁに?帝人君」 「むずむず、静まらないです…」 「あ、ごめんごめん。帝人君が美味しいからさ…すっかり夢中になってた」 「…?」 美味しい? 味なんてしないと思うのだけれど。 でも、僕も臨也さんの体を舐めているときはなんだかふわふわするからきっとそういう意味なんだろう。 とはいえ、普段よりも多くの場所を舐められてなんだか体が自分のものじゃないみたい。 足の先まで舐められた時は本当にびっくりした。 「ん…」 今度はじっくりと口付けられる。 これはつい最近教えてもらったこと。 なんだかそうすると心がほわんと暖かくなる。 そういったら、臨也さんが笑ってくれたっけ。 (ちなみに静雄さんにもしようとしたら、全力で阻止された。なんでだろう?) 「いざ…やさん…?」 ほわんとした気持ちのまま問い掛ければ、にっこりと微笑んだ。 「ちょっと痛いかもしれないけど…がまんしてね?」 「……え?」 尻尾より下の部分に手を掛けられて。 ぐっと何かが入ってくる。 「…っや…!!」 咄嗟に伸ばした腕は一まとめにされて頭上に固定される。 ばたばたと足を動かしたけれど、臨也さんにはじゃれてるようにしか思えないのかにこにこしてて。 怖い。 「なんで…やだ…!」 「んー気持ちよくない?」 ぐりぐりと動かされて、嘔吐感。 気持ち悪いだけなのに…! 臨也さんがこんな酷いことするなんて、信じられない。 いつだって優しかったのに。 なんでなんでなんで? 「やだやだやだぁ…!」 「ごめんね?でも愛してるから」 「……っ?」 「愛してるから、やめてあげない」 にっこりと笑う臨也さん。 あいしてるってなに? それは初めてきいた言葉。 なんだろう、あいしてるってなに? 「…あいしてるってなんです…か?」 あいしてるとこういうことをするのだろうか。 こんな気持ち悪いことを? 「大好きのもっともっと上の感情、かな」 「…?」 大好きは知ってる。 ほわんってなる言葉。 それのもっと上の言葉?それなのに、どうしてこんなことをするの? もっともっとほわんってなるんじゃないの? 「なんで…?」 「帝人君だけ愛してるよ」 僕の質問には答えないで、臨也さんが口付けてきた。 それは、ほわんってなる。 力が抜けた瞬間、さっきまで違った感覚が走り抜けた。 「…っ?!」 「あ、ここかぁ…」 どこかうっとりとした声が聞こえてきた瞬間、大きく体に震えが走った。 「ぁ…っ」 ぎゅっと中に入った物を締め付ける。 なに? なにこれ、体が凄くむずむずする。 「や…っ」 「もう、いいかな?」 俺も流石にがまんの限界。 そう言って一度臨也さんが離れる。 すぐに覆い被さってきて、さっきまで入っていた何かが抜かれた瞬間大きな衝撃が襲った。 「…っ?!」 「謝らないよ。だって俺は帝人君を愛してるからね」 「…っぁや…!!」 ばたばたと体が動く。 だって苦しい、苦しい苦しい。 さっきまでの感覚が霧散していく。 ただの圧迫感。 押さえられていた腕が離されて、背中に回される。 ぎゅーって臨也さんの肩に爪を立てれば、臨也さんが嬉しそうに笑った。 「そう、それが正しい」 「…っ」 「かーわいい…」 耳を甘噛みされると、びくんと体が震えた。 力が抜ける。 ふっと意識が飛んだ瞬間に、圧迫感が少し減った。 「……っ?」 「そう、その感覚覚えててね?」 ぐいぐいと動かれて、声がもうでない。 ぼろぼろと毀れる涙が、臨也さんの唇に吸い取られていく。 「ね、愛してるんだ」 優しい声音。 …愛してるって、怖いことじゃないの? ぎゅって抱きついて、もっと臨也さんの言葉を聞こうと耳を押し付ける。 そこに舌をはわしながら、臨也さんがずっと愛してるって囁いた。 「…あいしてるって怖い?」 「怖くないよ、大丈夫」 慣れればねって笑ってそう言って。 何度も口付けられて。 なんだか体がほわんってなった。 「いざやさん…」 「なぁに?」 「体が凄くほわほわして熱い…」 「そっか、そろそろかな」 何がそろそろなのかわからないけれど。 そう言って髪を掻き揚げてくれる臨也さんは全部分かってるのだろう。 結局僕は、臨也さんに全部教えてもらわないと分からないことだらけなんだ。 「あつ…」 「うん、熱いね…気持ちいい」 気持ちいい? なら、いいのかな。 臨也さんに僕も何か返せてるのかな。 そう思ったら。 なんでか僕も気持ちよくなって。 ごろごろ喉が鳴った。 「もう!可愛いんだからー」 嬉しそうに笑う臨也さんだって喉が鳴ってる。 うん、やっぱりそれならいい気がしてきた。 ぎゅうって抱きつきながら、そんなことを思っていたのだけれど…。 それから自分がどういう状況なのか教えてもらって。 でも、外に出れたのは随分後だった。 幾らシーズンだからってこれはあんまりだ。 臨也さんを一週間無視してたら、また襲われそうになったので、しょうがないからいつもの状態に戻ってあげました。 戻 2010.05/7 再録 如月修羅 |