白雪姫


「飲む?帝人君」
はいっと渡されたグラスに、丁度喉も渇いていたし…と手を伸ばした。
視線がコップに注がれて。
そしてそれが口元にもっていかれ…飲み込む。
その動作をつぶさにみていた臨也さんが幸せそうに微笑んだ。
「綺麗な動きだよね」
綺麗なのはいいよ。
愛してる。
そう言ったのは聴こえたけれど…。
その言葉に返事は出来なかった。




ぴちゃん。
そんな音で意識が覚醒する。
意識だけ。
体は…動かない。
なんの薬だろう?
多分臨也さんは後遺症を残すようなことはしないから、大丈夫だとは思うけれど。
「………い……」
掠れた声しか出なかった。
けれどそれだけで十分だったのだろう。
臨也さんが来た。
「起きた?うん、後遺症もない薬だから安心して俺に可愛がられてね」
うっとりと指を僕の体に這わす。
好きなんだろうか。
こういうのが。
表情に出ていたのか、むっとしたように臨也さんが僕を睨む。
「違う違う、これは帝人君だから。そうじゃなきゃここまでしない。…可愛い…綺麗…」
白い指先が喉元をくすぐってくる。
そういえば服を着ていないようだ。
空調が効いてるから寒くはないけれど。
「生きた死体みたいだね。俺には死ぬ人の気持ちなんて分からないけれど今の君にならきけるかなぁ…?」
「………こ……え」
「あ、そっか、喋りにくいんだっけ。残念あとで聞かせてね?」
と指先でなぞるのに飽きたらしく舌で舐め始める。
少し体温が、低い。
ぞくりとあがった熱に身動きできずに、溜まる一方だ。
「ふふ、なーんにもできないでしょ。これで帝人君は俺がいないとなーんにもできない」
素敵だね。
そういって、がぶりと噛み付かれた首筋にはキスマークというより血がきっとにじんでる。
「白雪姫って知ってる?あれって死んだ女に男がセックスすると林檎が取れるの」
子供向けはそんな描写できなかったのだろうが、確かにそんな話だった気がする。
「それみたいでもあるなぁ…セックスしていい?」
この状態で、今更?
と思わないでもないけど、かすかに動いた唇の動きで臨也さんには十分に分かったらしくて。
「大好き。こういうのも赦してくれるんだもんねぇ…」
そっと抱きしめられて。
指でならされて、啼かされて。
好きなように体を動かされて。
そして、また啼かされて。
「あ…あ…ぁ………」
「可哀想な帝人君。でもとっても可愛い」
ゆっくりと入ってきた臨也さんは冷たいと思ったけれど、熱くて。
熱くて焼けどしそう。
抱きしめられない腕に寂しさがこみ上げるけれど。
凄く楽しそうな幸せそうな臨也さんをみてたらどうでもよくなった。
あぁ…気持ちがいい。
がつがつとあたる箇所が熱をあげて。
「…んっ」
「いい?俺もいいよ」
口付けの合間にそう囁いて。
速度が上がる。
汗がたらりと胸元に落ちてゆっくりと下に落ちる。
それすらも快感で。
あぁ…なにもかも快感だ。
「愛してる」

その言葉とともに全てホワイトアウト。



「別にそんなもの入れて監禁なんてしなくたって。僕いなくなりませんよ」
「だってねぇ…いいじゃない」
「臨也さんも僕からの毒飲んでくれます?」
「毒の種類によってはね」
鍵の締められた部屋の中。
後ろから抱っこされて、甘やかされてる。
「じゃぁ考えときます」
「楽しみにしてる」

開けれるけれど、このドアが開くことは、まだ…ない。


2010.2/13 如月修羅

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