背中合わせ 血生臭い匂い。 鼻につく。 隣を疾走する相方はとてつもなく楽しそうだ。 ちらりと見れば、なんだ?とでもいうように此方を見た。 本当、戦闘狂・家具馬鹿・借金製造機…。 持っていたヨルガを振れば、雑魚どもの血が舞う。 人の思考の邪魔しやがって。 舌打ちしたい気分を隠し、永遠に続けることが可能なギギナの悪口をもう一度最初から再生しようとしたところで動きが止まる。 もう、これは戦闘で身についた本能。 頭で考えるより先に行動している。 まるでこれじゃぁギギナみたいじゃないか。 今度は本当に舌打ちしていた。 「さっきからなんなのだ?」 「べつに」 「…足手まといにだけはなるな」 「…お前もな」 ふんっと鼻をならし、久しぶりの戦闘のためかギギナがにやりと笑った。 それが合図だったかのように、呪式士共が沸いて出てくる。 質より量とでも思っているのか。 ……馬鹿らしい。 自然、ギギナと背中合わせになる。 途端さっきまでの不快感がなくなる。 安堵する。 戦場の狂気に狂ったギギナの背中の熱を感じて。 まだ、己はこの狂気に囚われていないのだと。 安堵した。 まだ自分は小匙二杯分でも人間らしい感情が残っていることに。 ギギナ、お前はこの感情に気付いてくれるな。 気付いてしまえば共に歩むことができなくなるだろう。 だから。 この感情に気付いたとき。 背中越しにお前を刺そう。 戻 2006.9/17 如月修羅 |