無題

死ねば良い。
ヨルガをギギナの首筋に突きつけながら思った。

ただ月明かりだけがこの部屋を照らしている。

美の化身であるギギナは瞳を閉じ眠っている。


否。


眠っている振りをしているのだろう。
分からぬわけではあるまい。
あからさまな殺意を刃にと込めているのだから。


「いつまで寝てんだよ、ギギナ」
「………」
「むかつく」


じりじりと力を込めれば、ギギナの首筋にうっすらと赤い筋。
こいつも血が通った一応人間なのだと分かる瞬間。

「起きろ、ギギナ」

微動だにしない。
あぁいい加減こんな茶番終わらせてしまいたいのに。



むかつくむかつくむかつくむかつくむかつく。




世界も何もかも本当にむかつく。





壊れてしまえば良い。
壊してしまえば良い。



それができないのなら、壊してくれれば良い。




はやくはやく目を覚ませ。
そしてお前の刃で俺を切り裂き世界を終わらせて?




どうせ世界を終わらせるのならば、貴方の腕で。
貴方が殺して。
そしてずっと己の存在を忘れないで。
永遠に。
…永遠に?

2006.5/28 如月修羅

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