窓の外

「雪……」
「ん?どうしたの帝人君」
「雪、降らないですね」
「東京で雪が降ったら色々麻痺するけど、それでいいの?」
「…それは、困りますね」
「でしょ」
でも彼は窓の外を見ながら呟くのだ
「でも、今雪が降ったら…」
「降ったら?」
「一緒に溶けて死んでしまいたい」
「死にたいの?」
「死にたいです」
「そう。でも無理だよ」
「無理ですね」
彼が見つめる窓の景色は灰色の壁。
形ばかりの窓に彼は何を夢見るのだろう。
「……雪が降ったらいいのになぁ…」

一生見ることができないとしりながら見る夢はきっと帝人君が今の生活を望んだままなのだと解釈して俺は一人楽しくて笑う。



「いつ降るかな」
「降らないかなぁ……」
あぁなんて愛しい子。
その両目に雪の白さなど写らないように目隠ししてあげよう。


「あの灰色が  く染まれば…終り、ですね」




その言葉を聞こえぬふりをして。



2011.03/03 如月修羅

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