解読力はマイナス10点



「臨也ー!」
「帝人君、どうしたの?」
「いいから、ちょっとここ教えて!」
「…数学、か?」
「静雄も危ないでしょ?一緒に臨也に教わろうよ」
おいでおいでと招き寄せれば、一瞬火花は散ったものの大人しく僕を真ん中に右に臨也、左に静雄が納まる。
そんな光景をまるで動物園の檻を見つめるかのような好奇心を持って、見つめてくる視線を感じるけれど、この二人と居る時点で慣れてしまったので無視。
「帝人君に教えるのはいいけどさ、シズちゃんからはお金取りたい」
「俺は教えてくれって頼んでねぇよ蚤虫」
「はっ!自力でやったら赤点候補の君が何いってんのさ」
「どうでもいいからほら、ここのコサインのとことか教えてよ」
はいはい、と軽くいなしながら教科書とノートを取り出す。
「帝人、臨也なんかに教わるより先生に一緒に教わろうぜ」
静雄の言葉に、ふるふると首を振る。
「だって臨也の教え方の方が上手だし」
「帝人君、大好きーvv」
「うんうん、僕も大好きだからさっさと教えて」
抱きついてくるのをそのままに、どうでもいいから数学を教わりたい。
確かに赤点は免れてはいるけれど、決して点数がいいという教科ではないのだから。
少しでも点数がいい教科を増やしておきたい。
それはどの学生も願ってやまないことだろう。
「冷たい帝人君もいいよね…」
「変態だな」
「シズちゃんなんて頼りにされることすらないじゃないー羨ましいからってそんなこと言っちゃってー♪」
「体育の時とか頼りにしてるよ、静雄は」
「………」
なぜだが黙ってしまった静雄に首を傾げつつ、抱きついたままの臨也に数学を教わる。
やっぱり先生に教えてもらうより分かりやすい。
国語力が高いのだろう。
なのに。
「なんで普通の時は崩壊するんだろうね」
「え、突然何?」
「あ、ごめん…臨也ってこうやって物事教える時とかは分かりやすいのに、普段の時ってまったくもって日本語として会話してる気分にならないから…」
「あぁまったくだよな」
静雄が復活したらしく、相槌を打っている。
ちなみに静雄のノートにはまだ何もかかれてない。
あとで僕が教えることになりそうだ。
「酷い!ただ俺は帝人君に愛を伝えてるだけなのに!!」
「うん、ほら意味がわかんないw」
けらけら笑いながら言えば、なぜかぐったりとした重みが肩に。
なんで落ち込んでるんだろ?
そんな臨也をにやにや笑って静雄が見てる。
「いつになったら伝わるのかなぁ…」
「なにが?」
「帝人君、国語力というか解読力低すぎる…」
「国語は点数いいよ?」
臨也がそれに困ったように微笑んだ。
「そういうことじゃないんだよね」
「意味がわかんない」
「まぁいいやーいつか絶対に振り向かせるからね、シズちゃんに負けないから」
「それはこっちの台詞だ」
なぜだか闘志を燃やし始めた二人に、それよりもいつになったら数学を教えてもらえるのかと
そんなことを思った。



御本人以外のお持ち帰りをお断りいたします

2010.6/26

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