「静雄さん静雄さん静雄さん」
ぱたぱたと尻尾が揺れる。 じゃれかかれば、ゆっくりと静雄が此方を向いた。 「なんだ、帝人」 「サイモンさんがご飯ですよだって!」 小型犬である帝人が静雄の隣に立つと、どうも親子のように見える。 実際、サイモンが静雄に帝人を安心(?)して預けていたからか、帝人は飼い主であるサイモンよりも同じ飼い犬である静雄に懐いていた。 「焦って食いすぎるなよ」 「もう僕も子供じゃないです!」 むぅっとするその姿こそ子供そのものだったけれど、何もいわずぽんぽんと頭を撫でる。 甘噛みしてやれば、楽しそうに帝人が笑った。 そのままじゃれあっていると、サイモンが顔を覗かせてご飯を置いていった。 いつものことだから、飽きれているのだろう。 まともにご飯の時間に行ったためしがない。 今日は臨也もこないし、いい1日になるだろう。 なにせ、帝人が笑っているのだ。 (幸せに決まってるな) もう一度首筋に軽く歯を立てながら、そう思った。 戻 2010.3/25 如月修羅 |