猫だまり
(可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い) 同じものがついてるのに、どうしてこんなにこの子は可愛いのだろう。 耳がぴこぴこ動いて、むずがるように尻尾がパタンと動いた。 さりげなく尻尾同士を絡めながら何度目だろうかの“可愛い”を脳内で呟く。 やっぱり自分の本能に従ってよかった。 ぼろ雑巾のように横たわっていたこの子を拾ってここまで育てたのは自分だ。 「みーかどくーん」 暖かい日差しの中、漸く帝人の瞳が開く。 「…いざ…やさん…?」 ざりざりと耳を舐めてやる。 そうすれば、気持ちよさそうにごろごろ喉を鳴らし、うんと一度伸びをした帝人がお返しとばかりに耳を舐めてくる。 気持ちよくて気が付いたら喉がなっていた。 まぁ…本能だしね。 「ご飯食べに行く?」 「ならサイモンさんの所がいーです!」 「シズちゃんが居るじゃない」 「いいじゃないですか!三人でご飯食べましょう?」 「嫌だよ。落ち着いて食べれないじゃない」 「なんで喧嘩ばっかりするんですか!」 帝人がそういって困ったように笑う。 可愛いなぁ…目がくりくりしてる。 このまま舐めて可愛がりたい。 「…違う所じゃだめ?美味しい所知ってるし」 「…………お魚がいいんですけど」 「まかせて!」 本能の赴くままにもう一度耳をざりざり舐めてやれば、ぴょこぴょこ動く。 「むぅ…臨也さん、おなかすきました」 「あぁごめんごめんいこっか」 「はい!」 目を輝かせて着いて来る帝人に笑みがこぼれる。 あぁなんて可愛くて愛しい子なんだろう! (だぁれにもあげないからね!) 戻 2010.3/22 如月修羅 |