雪の日のお散歩と新たな出会い 前半

※さりげなく、北村さんがでてきます。
それに伴い、ヤンデレカイトも一緒です。


朝起きると、窓の外は真っ白だった。
「マスターマスター、白い、です」
「…んー?あ、雪だな」
隣で寝ていたマスターが体を起し、外を確認する。
「ゆき、ですか…?」
確かテレビで、雪で遊ぶ子供達が写っていた。
そういえば、マスターが笑う。
「此処ら辺ではそんなに積もんないと思う」
「…残念です…」
「でも足跡ぐらいならつけれるかな」
「!」
「今日は出歩いてる人も少ないし…外にでる?」
「はい、です!」
そこからは早かった。
朝ご飯を食べて、出かける用意をして。
マフラーと、コート。手袋をつけて玄関先でマスターを待つ。
マスターと一緒に外を歩けなんて、夢のようです…!
といえばくすくすと笑う。
「そういえば…カイトと一緒に歩くの、初めてだっけ?」
「そうですよ。初めてです」
「初めて、か…」
マスターが楽しそうに笑い、俺の手を取る。
「迷子にならないように、手を繋いでいくか」
「はい!」


さくさくさく。
吐く息は白く、足元からはそんな音が聞こえてくる。
それが楽しくて、何も後のついていない所に自分の足跡がつくのが楽しくて……。
何よりマスターが隣にいてくれているのが嬉しくて笑みが毀れる。
他愛もない会話をしながら、近所を歩く。
マスターがよく俺にアイスを買って来てくれるお店や、マスターが大学へと行く道。
そんなのを教えてもらう。
一つ一つ、マスターを構成する情報を共有できて凄く嬉しい。
ふと、マスターが立ち止まった。
「どうしました?」
「………いや、KAITOだなって思って」
「え?!」
マスターの視線の先には俺と同じKAITOが居て。
雪が積もっているのに、いつもと同じ服装のまま。
ただ違うとすれば…その両腕に白い包帯が巻かれていることだろうか。
マスターの表情が険しくなる。
俺たちにも人間と同じように寒さや熱さを感じる機能はちゃんとある。
ぼんやりと立っているKAITOは、駅にと続く道を見つめていた。
「声を掛けてみるか」
「はい」
微動だにしないKAITOの元へと歩いていき…とんっと肩を叩く。
同じKAITOの方がいいだろうという判断で、マスターは俺の後ろのほうに。
「あの…どうしたの?」
「…………………」
俺の言葉は聞こえていただろう。
けれどKAITOは此方をみようともしない。
冷め切った体温が、凄く…怖くて。
マスターに助けを求めるように向けば、マスターが口を開いた。
「…お前のマスターは?」
「………」
マスターという言葉に反応して、ちらりとKAITOが此方を向いた。
…どろりと濁ったような、青。
「…っ!」
咄嗟に声が毀れる。
なんだろう?同じKAITOなのに、全然違う。
「お前をそのまま放置してるのか?」
「マスター、それって…」

“虐待”

多くはないが、少なくもない。
同じボーカロイドとして、KAITOとして…そんな状況は嫌だ。
ぎゅっとマスターの服を掴む。
それに気が付いたマスターが俺の手を握ってくれた。
それが…視界に入ったのだろう。
口元が動いた。
「……マスター」
「ぇ…」
其の声も、どことなく覇気がなく…濁って聴こえて。
なんだろう…これは、KAITOなのだろうか。
「……キミは、マスターと仲がいいの?」
「え……?」
「ずっと、一緒?」
「う、ん……」
「そう」
興味が失せたらしく、KAITOがまただんまりになる。
マスターを見れば…マスターも思案顔で。
とりあえず…寒いだろうからと、手袋を渡してみた。
「……?」
「つけて、寒いから」
それだけでどうにかなるわけでもないけれど…。
流石にコートを、というわけにもいかないし。
「…ありがと」
これで少しでも寒くなくなれば…と思ったところで…。

「お前ばかだろー!!!」

大声が、聞こえた。

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(長くなったので、分けます)


2009.9/20 再 如月修羅

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